もっと煮え煮えアジアパー伝 (講談社文庫)



もっと煮え煮えアジアパー伝 (講談社文庫)
もっと煮え煮えアジアパー伝 (講談社文庫)

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アジアの寂寥感

 2003年に出た単行本の文庫化。
 「アジアパー伝」シリーズの第4弾。
 いつもながら、鴨志田氏の文章と、西原氏の漫画のあいだに、何の関係性も見出せないのが面白い。鴨志田氏がシリアスな旅日記を吐露している一方で、西原氏の馬鹿馬鹿しい日常漫画が「空気を読まず」展開されていくのだ。
 どちらも、それだけでは「ちょっと足りない」感じだが、コラボレーションの妙によって面白さが生まれている。
 旅行記だけ単独で見ると、相変わらずの印象。センチメンタルなアジアの旅だ。ちょっと食傷させられる。
鴨志田さんの追悼に

 この本は、西原理恵子と鴨志田穣の二人の共著であり、アジアパー伝というシリーズの四作目である。
 鴨志田氏がアジアでルポしたこと、自分が体験したことをそのまんま書いた本に、西原が本編と関係が深いような全く関係がないような漫画を添えている。鴨志田氏のルポは、社会正義を訴えたものでもないし、ルポルタージュといった社会派のものではない。各地をあちこち放浪したり飲み歩いたりする中で拾ってくる生のアジアの、裏側の営みである。当然売春婦の話もでてくるし、日本と違ってそれが十代の前半の子供だったりする本当に生々しい話だったりするし、警官や税関の腐敗の話もふんだんに出てくる。痛々しいような笑い話としてそういうのが出てくる。
 そして、いつもながら思うのだがこういう文章を書いているときの鴨志田氏は、西原理恵子の旦那として漫画にでてくる鴨ちゃんとは大違いにクールでシニカルである。酔っぱらってぐだぐだになって情けない姿になったりはするが、ある意味、かっこよいキャラクターにも見える。鴨ちゃんとイコールで結べなくなる。けれど、逆にそういう人だからこそ、現実を直視しすぎて酔っぱらわずにはいられないのかなと妙にすとんと腑に落ちてしまうところもあった。
 実のところ、この本は先日亡くなった鴨志田さんの追悼のつもりで買ったわけだが、読んでいるうちに本当に実に良く彼のことを思い出せた。文庫版のあとがきの鴨志田氏の禁酒の話からは、彼の死が予測できず、なおさらつらかったけれど、鴨志田さん、西原さんどちらかのファンの人には是非読んでもらいたい一冊である。
追悼

鴨志田穣享年42歳。
死因は腎臓がん。
アルコール中毒、吐血と入院。彼の健康状態が悪いことは著作に何度も書かれていたが、それでもその早すぎる死には驚かされた。

彼が世に知られるきっかけは有名なマンガ家、西原理恵子さんと出会い、結婚したことだった。
そのため彼の著作は西原さんのファンが買うことも多く、彼の人気は彼本来の実力ではないという批評もあった。

しかし彼の著作を改めて読み直してみて、私は思った。
世の中には面白くて興味深い体験をしながら、それを発表する機会を与えられない人が大勢いる。
だが鴨志田氏は「西原理恵子」を通して自身の貴重な体験を語る場を得た。
そして更に彼は「西原理恵子」という体験をすることで、より面白くなったのだ。
私は西原さんを通して鴨志田氏の文章を読むことができたという幸運を嬉しく思うと同時に、それがもう読めなくなったという不幸を悲しく思う。

このアジアパー伝は彼の代表作である。
あなたもこの一連のシリーズを読むことで、氏の文章が読める幸運とそれを失った不運を理解できるはずである。
是非とも読んでいただきたいと私は希望するものである。
西原全開

「毎日かあさん」や「ぼくんち」、「上京ものがたり」などで西原を知っていて、「あ、西原じゃん。買っちゃお」と思ったあなた、御愁傷様です。この西原とあの西原は別人ですから。

中国での取材で会社のカード上限きっちり使い切った夫、鴨志田を追いかけて中国に。そのあとはもう、ぐちゃぐちゃ。
まず漫画と文章がリンクしてないし。
その上でのホモや合コン、夫婦喧嘩にマレー半島での女の話などなど。
 
鴨志田のブツ切り文章と西原のラクガキ漫画の取り合せが安い中華料理屋のチャーライのようで、何とも味がある。

とりあえずは18禁。あと正常な人は読まない方がいい。
ちょっと頭の煮えてる人で許容力のあるあなた、読めとはいわないけど、お暇ならどうぞ。



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